HOME › もの忘れ外来

もの忘れ外来

当院ではスタッフ全員が「認知症サポーター養成講座」の講習を受けています。
物忘れが気になる方は安心して受診してください。

 物忘れには生理的な物忘れと病的な物忘れがあります。生理的なものは年をとるとみなさんありますが、物忘れをしてもヒントがあればすぐに思い出し、また記憶に残っているのですが、それを引き出すことが困難になってきます。病的なものはアルツハイマー型認知症に代表されるように、物忘れが原因で生活に支障をきたしてくるものです。本人は物忘れをしていることに気付かないことが多いのですが、家族が「以前と様子が違い、違和感がある」ということで気付かれることが多いです。病院にこられた時はすでに症状が進んでしまっていることもあり、あやしいと思った時は認知症専門医の診察をお勧めいたします。

ご家族のアンケートです。最初どのような症状で「認知症かも?」と思いましたか?
□1.物忘れがひどい
□2.ささいなことで怒り出す
□3.道に迷うことがある
□4.落ち着きがない、機嫌が悪いことが多い
□5.気持ちが沈む、あるいは周囲に関心を示さない
□6.歩きまわるなど目的のわからない行動が目立つ
□7.ささいなことを心配したり怖れたりする
□8.会話がうまくできなくなった
□9.「誰かに物を盗まれた」という
□10.着替えがスムーズにできない
□11.呼びかけに反応しないことがある
□12.夜眠らず、家の中を歩きまわる

認知症がある場合、通常は家族が症状の変化に気づいて病院に受診されることがほとんどです。
当院に受診された認知症のある30人の方のデータです。「物忘れがひどくなった」「ささいなことで怒り出す」「道に迷うことがある」がよく家族に気づかれる症状です。

以下のグラフがデータをまとめたものです。




頭部MRA

頭部MRA

頭部ディフュージョン(脳梗塞)

頭部ディフュージョン(脳梗塞)


よくある質問


Q.認知症にはどのようなものがありますか?

1)アルツハイマー型認知症
2)レビー小体型認知症
3)血管性認知症
4)前頭側頭型認知症
などがあります。もっとも多いのがアルツハイマー型認知症です。
認知症は高齢化に伴ってその数は増加していると報告されています。

Q.認知症の薬はありますか?

今まではアリセプトという薬しかありませんでしたが、新しい飲み薬がでました。
アリセプトは物忘れ症状以外に、意欲の低下や抑うつ症状にも改善効果があります。その他新しい薬が発売されて現在4種類あります。症状に合わせて薬を調整します。
薬は症状改善だけでなく、進行予防効果があります。症状が進行してからでは遅い場合もありますので、早めの受診をお勧めいたします。

Q 認知症の薬は効果ありますか?

認知症の薬は現在4種類あります。当院で認知症の診断がされて投薬を始めた方のアンケートです。
薬を飲むことで32%の方が改善しました。53%の人が変化はみられないものの症状は進行していないようです。
認知症は少しずつ進行するものですので、認知症の薬を飲むことで8割以上の方に何らかの効果が認められるようです。早めに薬を始めることも大切と思われます。


Q.アルツハイマー型認知症はどのようにして起こりますか?

脳の中にアミロイドβタンパクという異常な物質の蓄積が認められ、その後タウタンパクが神経細胞内にたまりその後神経細胞が死んで行きます。海馬周辺の細胞が主に障害されるため、記憶障害が早期から認められるのが特徴です。アミロイド仮説と言われていますが、なぜそのような物質がたまりやすい人がいるのかはまだよくわかっていません。

Q.夜起き出して怒鳴ったりするのですがどうしたらよいでしょうか?

認知症になると中心症状のもの忘れと周辺症状といわれるものが見られます。
怒ったり、幻覚が見えたり、徘徊をしたりする症状が見られることがあります。
怒りっぽいという症状も認知症の症状の一つです。症状を落ち着かせる薬もありますので御相談下さい。

Q.認知症を予防するのはどのようにすればよいでしょうか?

認知症ガイドラインでは、青魚の摂取、適度な飲酒、緑茶の摂取、運動習慣、教育歴などが予防効果があると報告されています。また血圧管理、糖尿病の管理、肥満、喫煙などの生活習慣も予防効果があると報告されています。
活動的な方は歳をとっても認知症になりにくいと言われています。積極的にいろんな人と話をする機会を持ちましょう。また定期的な運動は認知症を予防することができると言われておりますので、ウォーキングなど定期的に運動をしましょう。

Q.アルツハイマー病になりやすい遺伝子がありますか?

アポE4遺伝子をもっているとアルツハイマー病になるリスクが約3倍になります。これは片親から遺伝子を受けついだ場合ですが、両親から引き継いだ場合はリスクは10倍になります。この遺伝子をもっているからといってアルツハイマーに必ずなるわけではありませんが、なりやすいということです。この遺伝子をもっている人は40-50歳台から予防対策をする必要があります。高コレステロール、糖尿病、高血圧などの生活習慣病があとアルツハイマーになりやすいので、食事や定期の運動をする必要があります。

親がアルツハイマーの場合は、注意しておいてもよいかもしれません。当院ではこの遺伝子をもっているかどうか検査可能ですのでご相談ください。

Q.認知症の新しい薬の副作用はありますか?

アリセプトでは吐き気などの消化器症状が認められることがあります。胃薬などと一緒に飲むことで最近ではあまり副作用はありません。まれに興奮症状がでることもあり、その場合は中止する必要があります。認知症貼り薬がありますが、かぶれて皮膚が赤くなることもあります。薬を使い始めたときは注意が必要です。

当院でのVSRAD データ


当院のデータでも、認知症がみられる方がVSRADの数値が高い値を示しているようです。
約100人ずつのデータです。

Q.最近物忘れが進んできたかな?と思う場合。

軽度のもの忘れ症状で認知症の一歩手前のような状態を軽度認知機能障害といいます。年齢と共に記憶力が低下することは誰でもあると思います。脳のMRI検査にて海馬に萎縮がみられる場合は、今後アルツハイマー病に進展していく可能性もあると指摘されています。
心配の方は一度脳のMRI検査をしてみることをお勧めいたします。
アルツハイマー病は急に始まるわけでなく、10年ぐらいかけて少しずつ進行してきて症状がでてくると言われています。早めの予防が大切です。

Q.認知症の初期の症状はどのようなものですか?

同じことを繰り返し聞く、大事なものを置き忘れるなどの記憶障害。いつも同じ服装をしている、薬を飲み忘れる、料理の味付けが変わるなどの生活面の変化。以前やっていた趣味をしなくなるなど意欲の低下などがある場合は認知症が疑われます。ご本人が気づかない場合が多いので、ご家族が心配になって病院につれてこられることが多いです。

Q.レビー小体型認知症とはどのようなものですか?

レビー小体型認知症とは、脳の中にレビー小体というものがたまってきて物忘れ症状をきたす病気の一つです。物忘れ以外にも、パーキンソン病様の症状、幻視、妄想、アパシー、転倒や失神、レム睡眠期行動異常症などをきたすことがあります。
パーキンソン病でも症状が進行してくると認知障害が認められてきますが、本質的には同じグループの疾患ではないかと考えられています。

Q.認知症の原因にはどのようなものがありますか?

アルツハイマー型認知症、Lewy小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症などがあります。その他、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍など手術することでよくなる認知症もあります。その他内科的には、甲状腺機能低下症、臓器不全、睡眠薬の副作用などでも認知症様の症状をきたすことがあります。
まずは原因をしっかり調べる必要があります。アルツハイマー病でもお薬を飲むことで進行を遅らせることが可能です。

Q.高血圧、糖尿病はアルツハイマー病と関連しますか?

高血圧糖尿病はアルツハイマー病の危険因子です。中年期(40-65歳)に血圧が高いと高齢期(65歳以上)に認知症になる可能性が高くなります。
高齢になってから治療するのではなく、中年期ですでに血圧が高い場合は予防目的でお薬を飲んでおいたほうがよいです。糖尿病の場合も同様のことが言われています。

Q.運動はアルツハイマー病の予防に有効ですか?

定期的な運動することで認知症の予防効果があることがたくさん報告させています。すでにアルツハイマー病になっている人にも進行を抑制する効果があることが報告されています。
高齢になると積極的な運動が勧められます。

Q.認知症を予防する食べ物はありますか?

野菜や果物は抗酸化物質が含まれており、脳の保護には有効との報告があります。その他ベリー系のものや、赤ワインはポリフェノールが含まれており脳にはよいようです。緑茶、紅茶、コーヒーも抗酸化物質が含まれています。魚の脂は脳によく認知症になりにくいと報告されています。
脂でもマーガリンなどのオメガ6脂肪酸は脳に炎症を起こしてしまうので控えめにしたほうがよいです。

Q.認知症の家族がいる場合、家族の対応はどのようにすればよいか?

家族が認知症になった場合にどのような姿勢でのぞめばよいか?
認知症ガイドラインにその対応法が載っています。
1)患者の能力の低下を理解し、過度に期待しない。
2)休息な進行と新たな症状の出現に注意する。
3)簡潔な指示や要求を心がける。
4)患者が混乱したり怒り出したりする場合は要求を変更する。
5)失敗につながるような難しい作業を避ける。
6)障害に向かいあうことを強いない。
7)穏やかで、安定した、支持的な態度の心がける。
8)不必要な変化を避ける。
9)できる限り詳しく説明し、患者の見当識が保たれるようなヒントを与える。
以上難しい対応と思いますが推奨されている対応です。

Q 認知症の人は認知症であることを自分で自覚していますか?

外来で認知症の診断をする場合、軽い認知症の人に「認知症であると診断すること」は難しいことが多いです。ご家族から話を聞いて認知症であるとわかることもよくあります。
その理由として患者さん自身が物忘れを自覚していないことが多く、当院で調べた結果では73%の方がご本人に物忘れの自覚が全くないようでした。20%の方は少し物忘れの自覚があるとのことですが、よく聞くと実際は自分ではあまり思っていないものの周りから物忘れを指摘されるためのようです。


Q 認知症のある人の薬の管理は?

認知症のある方は、薬を管理ができない場合が多くあります。薬を飲み忘れてしまうことが多いですので周囲のサポートが必要です。認知症の薬が進行予防の効果があることはわかっていますので、忘れずに飲んでもらうことが大切です。
当院での調査でも自分で薬が管理できている人は半分以下でした。


Q 認知症の人は介護サービスを利用した方がよいですか?

認知症の治療は薬だけでは限界があります。薬と同時に介護サービスを利用するなどの刺激が必要です。認知症のある方は、1日「自宅でじっとテレビを見て過ごしている」とか「寝ていることが多い」ようです。当院に認知症で受診された方の約8割が、受診時に介護サービスを利用されておりませんでした。認知症の予防目的で介護サービスの利用が勧められます。



このページの先頭へ