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めまい外来

1.めまいの種類

めまいにはグルグル回る回転性のめまいと、ふわふわする浮動性のめまいと、たちくらみのめまいあります。めまいの種類によって原因がある程度しぼられてきます。めまいの多くは内耳性と考えられますが時に脳卒中や脳腫瘍などが隠れていることがあり注意が必要です。

2.どこが悪くてめまいがするのか?

めまいの原因にはさまざまなものがあります。
(1)内耳と前庭神経の異常(耳からくるめまい)
(2)脳幹・小脳・大脳の異常(脳からくるめまい)(脳卒中外来)
(3)高血圧、低血圧、糖尿病などの全身疾患
(4)不安症、うつ病などの心因性
これらの原因が複数重なることによって症状が続くこともあります。

めまいは自律神経も深く関与しています。

自律神経は交感神経と副交感神経から成りたっています。これらのバランスが崩れることによってめまいを起こすこともあります。特に高齢者の場合、自律神経がうまく働かなくて血圧が変動してめまいを起こします。

めまいを起こす病気

A 良性発作性頭位めまい症

内耳には三半規管と耳石器があり、三半規管は回転運動、耳石器は直線加速度と頭の位置のセンサーとして働いています。耳石器の耳石がはがれて三半規管の中に落ち込んでしまうことがあります。寝返りをうつなど頭の位置が動くと落ち込んだ石が動き、回転性のめまいが起こります。めまいは1分程度でおさまるのが特徴です。はがれた石が吸収されることで自然に症状はよくなることがあります。

B メニエール病

メニエール病は内耳の内リンパ水腫により起こると考えられています。その内リンパ水腫が起こるメカニズムはよくわかっていませんが、慢性のストレスが関わっているのではないかと考えられています。発症年齢は女性では30代男性では40代といわれています。
症状は30分から数時間の激しい回転性めまい、吐き気嘔吐、めまいに伴う耳鳴り難聴があります。

C 脳梗塞(脳卒中外来)

脳の中の小脳や脳幹という部分に脳梗塞を起こすと回転性のめまいを起こすことがあります。原因は動脈硬化により血管が詰まることによって発症します。他のめまいと鑑別が必要な場合は脳のMRI検査をする必要があります。脳梗塞が確認された場合は、脳梗塞に対する点滴や薬が必要になってきます。診断はなるべく行い、治療を早くすすめることが大切です。高血圧や糖尿病のある方は動脈硬化が進みやすいので注意が必要です。

D 高齢者のめまい

高齢者の場合は、脳動脈硬化のため脳血流の低下があり、平衡機能の低下、自律神経障害があり、その上に高血圧や血糖の変動、不安、睡眠不足が加わりめまいは起こりやすくなっていると考えられます。さらには下肢の筋力低下、白内障などの視力低下、睡眠薬などによる副作用などもふらつきの原因となっています。
脳循環の低下によりめまいを起こしますが、脳梗塞等にもなりやすいため早めの判断が必要になってきます。(脳卒中外来)

E 突発性難聴、前庭神経炎

突発性難聴は突然耳が聞こえなくなる原因不明のものを言います。めまいを伴うこともあります。前庭神経炎はウイルスにより前庭神経の感染に伴うものが考えられています。難聴が起こらないのが特徴です。耳鼻科での診察が必要です。

F 心因が関係するめまい

心因性は臓器に特に異常がなく、心理的な原因によりめまいが起こります。
うつ病や、不安症、パニック障害などにともなってめまい症状がみられます。
精神科や心療内科での診察が必要になってきます。

めまいの治療について

めまいの治療は、診察によって診断が確定した場合に行います。抗めまい薬や不安をとる薬などが使われ、めまいや吐き気止めの点滴が行われます。めまいがとまらない場合は入院が必要な場合もあります。

めまいのリハビリ
当院では投薬にても改善しないめまいのリハビリを行っております。主に内耳性のめまいの場合に行います。リハビリの仕方を勉強してもらい自宅で行って頂いております。長引くめまいに対して症状が改善し効果が出ている方もいます。

脳卒中外来とは?

脳卒中は脳の血管が詰まったり、裂けたりすることによって起こる病気です。脳の血管が詰まる脳梗塞と、血管が裂けて出血してしまう脳出血とくも膜下出血に分かれます。脳卒中は現在でも日本人の死因の3位を占めており、生き残ったとしても大きな後遺症が残った場合、日常生活に支障をきたしますので注意が必要です。
当院では脳卒中の予防と、脳卒中になられた方の再発予防・治療を中心に診療を行っております。


頭部ディヒュージョン(脳梗塞)

頭部ディヒュージョン(脳梗塞)

頭部MRA

頭部MRA


脳卒中を疑う主な症状


(1)半身のしびれや力が入りにくい
(2)言葉がもつれる 
(3)めまい、ふらつき
(4)物が二重に見える 
(5)激しい頭痛 

脳梗塞

脳を栄養する血管が詰まることによって起こる病気です。脳梗塞は、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の3種類に分類されます。心原性は不整脈の心房細動を持っている方に起こりやすい脳梗塞です。手足を動かす中枢のあるところに梗塞を起こすと麻痺を起こし、言語の中枢に梗塞を起こすと言語障害が起こります。治療はなるべく早くに始めたほうがよいので、上記のような症状がでたらすぐに病院に行きましょう。

一過性脳虚血発作

一過性に脳の血管に血栓ができることによって、半身のしびれや麻痺が起こり数分から数十分間神経症状をきたした後に改善します。数日してから大きな脳梗塞を起こすことがあるので注意が必要です。一時的にでも脳梗塞を疑う症状があればすぐに病院にいくことが勧められます。

くも膜下出血

脳の血管にできた脳動脈瘤が破裂することによって起こります。今までにないような激しい頭痛がする場合はくも膜下出血の可能性があります。突然意識がなくなってしまう場合や突然死の場合もありますし、軽い頭痛や頭がなんとなく重い症状でくも膜下出血を起こしている場合もあります。

脳出血

血管が裂けることによって脳の中に出血を起こした状態です。大きな出血の場合は手術が必要になってきます。高血圧が主な原因ですので、血圧をしっかりコントロールすることが大切です。

痙縮の治療について

脳卒中の後に手足の筋肉が硬くなりこわばりが出てくることがあります。
足の場合は内反尖足という状態になり、歩きずらくなります。手の場合は、肘や手首や指が屈曲してしまいます。これは脳卒中の後遺症で屈筋が伸筋より力が強いために起こります。
このような場合にボトックス治療があります。この痙縮を起こした筋肉に対してボトックス注射を行うことで筋の緊張を緩めることで、正常な状態に近づけていく方法です。
筋肉が繊維化してしまうと効果が少なくなってしまうので、発症してから早めに治療をしたほうが有効です。

よくある質問

Q. 脳梗塞の原因は何ですか?

動脈硬化がすすむことによって、脳の血管が詰まり脳梗塞を起こします。その原因として、加齢、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などがあります。特に高血圧があると脳血管の動脈硬化が進みやすく脳梗塞のリスクが高くなりますので注意が必要です。

Q. 朝の血圧が高いのはよくないと聞きましたが?

早朝高血圧といって、朝の血圧が高い場合は脳梗塞などのリスクが高くなるといわれています。朝は自律神経が副交感神経から交感神経に入れ替わるときで、心筋梗塞のリスクなども上がります。まずは薬でしっかり血圧管理することが大切です。また睡眠時無呼吸症候群などでも朝や夜間の血圧が高くなり脳梗塞のリスクが高まりますので、検査が必要な場合があります。

Q. リハビリで脳卒中の後遺症はよくなりますか?

症状が軽い場合は完全によくなる場合もあります。重症の場合は回復に時間がかかります。リハビリは早期から開始したほうが治りもよく、脳卒中になってから半年ぐらいで急速に回復していきます。また数年たってからでもゆっくりですが回復することもありますので、リハビリの継続が大切です。

Q.無症候性脳梗塞(かくれ脳梗塞)とは何ですが?

無症候性脳梗塞は、頭部MRI検査にて脳梗塞があるのに、麻痺や言語障害などの症状がない場合を言います。MRI検査でこれが認められている場合は、将来脳梗塞を再発する可能性や認知症になる可能性が高いといわれています。
無症候性脳梗塞の最大の原因は高血圧です。血圧を下げてあげることによって脳梗塞の再発を予防することが可能です。血圧がいつも高い方は一度脳の検査をしてみましょう。

Q.未破裂脳動脈瘤が見つかった場合はどのようにすればよいですか?

未破裂動脈瘤が見つかった場合は、年齢、健康状態、動脈瘤の大きさ・形などを考えて手術治療を考えることが必要です。
動脈瘤の大きさが5-7mm以上の場合は手術を検討する必要があります。5mm以下でも動脈瘤の形が異常なものや部位によっては手術を考える必要があります。
手術をしない場合は、禁煙する・血圧を下げるなどの対応とともに、半年から1年のMRIによる経過観察が必要です。形に変化が見られる場合は治療を考える必要があります。

Q.もやもや病の場合の対応は?

もやもや病は脳のウイリス動脈輪という部分がしだいに閉塞してくることにより脳の血流が低下し、代償性に血管が増えてくる病気です。代償性に増えてきた血管がもやもやした血管ということでもやもや病と言われます。5歳前後と30-40歳前後に症状がでやすくなります。
脳の血管が詰まることによる症状と脳出血を起こすことによる症状があります。
治療には内科的な治療と外科的な治療があるので、症状によっては適切な治療が必要ですので定期的に病院で診察してもらいましょう。

Q.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中は関係ありますか?

腎臓の機能が低下してくると脳卒中のリスクが高くなります。
動脈硬化が進むことによって脳卒中になりやすくなります。
高血圧が原因ですので、まずは血圧を下げることが大切ですが、特にARBというタイプの降圧剤が有効です。

Q.いびきをかく人は脳卒中になりやすいですか?

いびきをよくかく人は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
習慣性のいびきがある方は虚血性脳卒中の独立した危険因子であることが報告されています。無呼吸になることで、血液中の酸素濃度が低下して血圧が上がります。そのために夜間動脈硬化が進み、脳卒中になりやすくなります。
無呼吸があるかたは、CPAP治療が勧められますが、まだ脳卒中の予防効果については明らかにされていません。まずはいびきと無呼吸の原因の一つである肥満などの解消が大切です。

Q.めまいと脳卒中の関連は?

めまいには回転性のめまいと動揺性のめまいがあります。
めまいは、耳からくるものや脳卒中が原因となるものなどがあります。
回転性のめまいの場合は小脳や脳幹という部位に脳梗塞や脳出血を起こしている可能性があります。中高年の方で、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を持っている場合は脳卒中に伴うめまいの可能性がありますので早めに病院で相談しましょう。

Q.頭痛で脳卒中のことがありますか?

激しい頭痛が突然起こった場合は脳卒中の可能性があります。
特にくも膜下出血の場合は、後頭部をバットで殴られたような激しい痛みがくるようです。
頭痛もちでない方が、急に頭痛がした場合は注意が必要です。
くも膜下出血の場合は30歳代や40歳代の方でも起こり、芸能人の方でも時々話題になっています。
診断にはMRI検査が必要ですので、病院で相談してください。

Q.脳梗塞の再発予防はどのようにしたらよいでしょうか?

脳梗塞の原因は動脈硬化ですので、一度脳梗塞を起こしてしまうと再発するリスクが高くなります。再発を予防するために抗血小板剤などの血液さらさらの薬を飲むことが勧められます。
さらには、動脈硬化の進行を抑えるために血圧の管理、血糖値の管理、禁煙なども大切です。
食生活を見直すことや、定期的な運動をすることも脳梗塞の再発を予防するためには大切です。


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